一般社団法人 岐阜県手をつなぐ育成会

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Q&A 保護者のお悩みにお答えしたケースをご紹介します。

「合理的配慮」とは何ですか?

Q:最近「合理的配慮」という言葉を耳にします。「合理的配慮」とはどのようなものですか?

A.「合理的配慮」と聞くと難しい言葉のように感じられますが、簡単に言えば「障がいのある人に対する配慮」のことです。例えば障がいのあるなしにかかわらず参加できる会があったとしても、会場に段差があり、スロープがなければ車いすの人は参加ができません。この場合にたとえばスロープを付けたり、段差のない会場で会を行うような配慮を「合理的配慮」と言います。H28年施行予定の障害者差別解消法では「合理的配慮」を行わないことは差別に当たるとされています。
 「合理的配慮」は個別性が高いため、障がい者本人と向き合い、どこに困っているか、どうすることでもっと楽になるかを周りが考え、その人をより深く知るきっかけになるという利点があります。
 一方で、配慮を提供する側にお金や労力の負担が発生する場合も多いため「過重な負担」がある場合には合理的配慮をしなくても差別にならないとされています。


相続について

Q.私Xの夫Yが、2015年3月に亡くなりました。私どもの子は3人で、長男Aは知的障がい者施設におり、長女Bは結婚して他県に住み、2男Cは独身で同居しています。夫の遺産は家土地と預貯金であり、私は年金生活です。
まず相続問題を解決しなければならないのですが、長男Aのこともあり、どうすればよいでしょうか。なお、遺言書は見つかりませんでした

A.夫Yさんが死亡されたことにより、Yさんの相続が開始します(民法882条)。従って、死亡されたYさんのすべての相続人(本件では、妻であるXと子どもA、B、C)が遺産分割協議をする必要があります(民法907条)。もちろん、Yさんが遺言書を書いておられれば、基本的にはそれに従うことになりますが、本件では見つからなかったようですので、ないものと思います。ただ、万一、公正役場で公正証書遺言を作っておられる可能性がなくはないので、少しでも可能性がありそうであれば、近くの公証役場で尋ねてみてください。作ってあれば、分かるはずです。

さて、遺産分割協議ですが、本来は話し合いで決めることであり、相続人全員が了承すれば、どのように遺産を分割しても有効です。たとえば、Cさんが全財産を相続しても構いません。しかし、どうしても話し合いがうまくいかないときには、家庭裁判所で第三者(調停委員)が相談にのって話し合いをまとめてくれるという調停を利用することになるでしょう。その場合は、概ね、法律上の基準(法定相続分=本件では、Xは2分の1、A、B、Cは各6分の1):民法900条)に従って、決めることになると思います。
ところで、Aさんは知的障がいがあるとのことですので、遺産分割協議ができるかどうかという問題があります。すなわち、遺産分割とは何であるか、遺産をどのように分けるのがよいのかなどについて判断し、決定する能力があるかどうかということです。知的障がいといってもその程度が軽度であり、これらの判断・決定能力があれば、遺産分割もできます。しかし、Aさんに、これらの判断能力がない場合には、遺産分割協議ができません。

 そこで、そのような場合には、面倒ですが、成年後見制度を利用する必要があります。成年後見制度については、ある程度ご存知かもしれませんが、このように判断能力がなかったり十分でなかったりする方の権利を守る制度です。そのような方が土地の売買をしたり、建物の修理をしたりする場合、介護保険契約や施設入所契約をしたり、預貯金の払い戻しや解約をしたりする場合などには、どうしても適切な援助者が必要となります。そうでなければ、「だまされて印鑑を渡し、勝手に財産を取られてしまう」「うまいこと言われて保証人にさせられたり、借金をさせられたりする」などの問題が発生することにもなりかねません。そして本件のように遺産分割協議をしなければならないときにも、適切な援助者が必要となります。そうでなければ、知的障がいのある者だけが受け取り分がないとか少ないとかになる可能性があり、やはり知的障がいのある者の権利が侵害されることになるからです。特に、最近は、銀行・農協などでは“本人確認”が厳格になされるため、本人の判断能力が重要となっています。本人の判断能力が不十分とみられると払い戻しや解約ができないこともあります。気を付けてもらいたいです。

 従って、Xさん、Bさん、Cさんは、Aさんの権利を守る者として成年後見人などを選ぶ必要があるのです。このことは、遺産分割協議だけのことだけではなく、今後のAさんの生活や財産の管理全般についても考えるべきことです。特に、Xさんが亡くなられた後のことを考えると、成年後見人などを就けることは絶対に有意義なことです。成年後見人などのことについては、家庭裁判所、手をつなぐ育成会、弁護士などに相談してください。きっと適切な方法が見つかるはずです。

 ところで、本件のAさんの成年後見人のことですが、家庭裁判所によって、Xさん、Bさん、Cさん以外の弁護士、社会福祉士、あるいは親類の方などが成年後見人などに就任した場合は、その方とXさん、Bさん、Cさんが話し合いをして遺産分割をします。なお、Aさんの判断能力がある程度ある場合には、成年後見人ではなく、保佐人か補助人のいずれかが就く場合もあり、このときはAさんの同意を得て、遺産分割をすることになるということもあります。これらの場合、基本的には法定相続分に応じた分割をすることになります。

 問題は、Aさんの成年後見人などに、Xさん、Bさん、Cさんのうちの誰かが就いた場合です。身内がAさんの成年後見人などになるのは、事情も気心もよく分かっていて良い面がありますが、遺産分割協議においては、Xの相続人という自分自身の立場とAさんの立場とを兼ねることになります。遺産分割においては、自分自身の受け取り分が多くなれば、Aさんの受け取り分は少なくなるというように、お互いの利益が相反するということになり、両方の立場を兼ねることは禁止されています(民法860条)。この場合には、成年後見人などは、家庭裁判所に申立をして、特別代理人という遺産分割協議だけのための代理人を選任しなければなりません(民法826条)。Aさんの利益を守るためです。

 現実には、成年後見人などを就けないで、遺産分割協議をしてしまう場合があるようです。たとえば、XさんやAさんの面倒はみるという条件で財産はCさんが全部受け取るとか、Aさんにも法定相続分相当の財産を与えるとかの分割をされています。それでも、Aさんは文句を言わない(言うことができない)し、家族もAさんのためを思って対応しておられます。しかし、元来違法ですし、先ほど述べたように、その後の生活や財産管理などのことを考えると、成年後見人などを就けておくべきです。その場合、家族よりは第三者の方が良いと思います。育成会のガイドブックでもそのように説明しています。

 成年後見人を就ける手続は、面倒ではありますが、障がいを持った方のためになることですし、家族の負担も軽くなるといえます。また、面倒と言っても、一時のことですし、専門家に相談すればそれほどのこともありません。

 なお、2015年1月1日から、相続税の基礎控除額が低くなりました。それまでは、「5000万円+1000万円×相続人の数」を超えない限り、相続税を支払う必要はありませんでした。しかし、今年からは、遺産が「3000万円+600万円×相続人の数」を超えれば、相続税を支払う必要が生じます。本件で言えば、遺産が5400万円以上であれば、相続税の申告が必要になります。他方、配偶者や障がい者などについての控除もあります。専門家に相談するなどされると良いでしょう。

(障害者110番 弁護士)



学校卒業後の進路について

Q.療育手帳A2の息子が来年春に特別支援学校高等部を卒業します。親としては就労継続B型事業所を卒業後の進路に考えていますが、どのように進めていったらよいでしょうか。

A.新規に就労継続B型事業所を利用する場合には、就労移行支援事業所によるアセスメントを受ける必要があります。B型事業所を利用することが本人に適しているか、実習などを行って判断してもらうのです。卒業してすぐの4月からB型事業所を利用しようと思うと、高等部在学中にアセスメントを受ける必要が出てきます。2週間から1か月ほどの実習を行うため、アセスメントは長期休み中に行うことになります。進路担当の先生と相談のうえ、夏休みなどの長期休みに入る前に就労移行支援事業所へ相談に行かれることをお勧めします。
   
   
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